医療観察法.NET

医療観察法指定医療機関の整備等について

2008年12月25日
厚生労働省障害保健福祉関係主管課長会議資料6より

 

PDF書類をダウンロード(476KB)

 

医療観察法指定医療機関の整備等について

「医療観察法(以下、「法」という。)」は、平成15年7月に公布され、心神喪失等の状態で、重大な他害行為を行った法対象者に対して、適切な医療を提供し、 社会復帰の促進を図っているところである。
 しかし、法に基づく指定入院医療機関の整備が進まない状況や地域社会における処遇が円滑に進んでいない現状があることから、都道府県におかれては、指定入院医療機関の整備をはじめとする法の運用への協力をこれまで以上にお願いする。

(1)指定入院医療機関の緊急的確保について

医療観察法に基づく指定入院医療機関の確保については、全国で720床程度を目標として整備を進めており、国関係では、国立精神・神経センター及び国立病院機構が設置する精神科専門医療機関において13箇所(382床)の整備を、都道府県関係については3つの自治体の協力を得て、55床の整備をそれぞれ図っているところであるが、都道府県関係での病床整備の遅れを背景として必要病床数の整備が進んでいないのが現状である。
 法が目的とする円滑な社会復帰の実現を図るためには、法に基づく医療と都道府県・市区町村(精神保健福祉センター、保健所、福祉事務所等) による精神保健福祉法、障害者自立支援法、生活保護法等の援助がそれぞれ有機的に連携しながら、法対象者や家族の意向に沿ったきめ細やかな対応が、居住する地域において一体的に行われる必要がある。
 このため、都道府県において指定入院医療機関の整備をしていくことは不可欠であるため、厚生労働省としては、平成21年度予算案において、1指定入院医療機関整備費の充実、2指定入院医療機関の整備に伴う地域交流の促進(周辺環境整備)を図るなど、重点的取り組みを実施しているところであり、都道府県立精神科病院の必要な機能を考慮の上、病棟の一部を活用した病床や専門病棟の緊急的確保をお願いする。

(2)地域社会における処遇の円滑な実施等について

法に基づく地域社会における処遇については、「地域社会における処遇のガイドライン(平成17年7月14日障精発0714003号)(以下、「ガイドライン」という。)」
に基づき行われているところであるが、法対象者に対する地域社会における処遇をより円滑に進めるためには、精神保健福祉に携わる地域関係者の協力の下に、ガイドラインに基づく地域処遇関係機関の基盤構築を図ることが重要であると考えている。
 厚生労働省としては、医療観察法の地域処遇体制の強化が図られるよう、障害者自立支援対策臨時特例交付金の枠組みを活用していくことや平成20年12月8日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知により、関係機関相互の更なる連携について都道府県、指定都市宛へ周知するなど、法の目的である継続的な医療の提供と社会復帰の促進に努めているところであり、都道府県におかれては、ガイドラインに基づく地域連携体制の基盤構築の充実を図るとともに、法対象者が居住する地域において適切な通院処遇が図られるよう、指定通院医療機関を引き受ける医療機関の確保について、引き続きご協力を賜りたい。
 なお、法に基づく医療を提供した結果、その精神障害の治療可能性が極めて乏しい場合には、当該者に対する法に基づく医療は終了し、精神保健福祉法に基づく医療に移行することが想定される。今後、こうした対象者については、個別に帰住地の都道府県と相談の上、都道府県立病院での医療の提供をお願いしたいと考えているので、都道府県立病院での受入れや、当該対応が困難な場合における受入れ先の確保を図っていただくようお願いする。

 

医療観察法医療観察法の運用状況についての運用状況について

医療観察法は、心神喪失又は心神耗弱の状態(精神障害のために善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態)で、重大な他害行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害)を行った人に対して、適切な医療を提供し、社会復帰を促進することを目的とした制度である

1.指定入院医療機関の整備状況

□ 国関係では、13か所を指定済で、3か所において建設中、都道府県関係では、3か所を指定済で、7か所において建設・建設準備中

□ 全国で720床程度の整備を目標とし、現在のところ437床(国関係382床、都道府県関係55床)を整備

□ 法が目的とする円滑な社会復帰を図るためには、法対象者が居住するそれぞれの都道府県において、指定入院医療機関を整備していくことは急務の課題であり、都道府県立精神科病院の必要な機能を考慮の上、病棟の一部を活用した病床や専門病棟の緊急的確保をお願いする

2.指定通院医療機関の確保状況

□ 指定通院医療機関については全国で324か所の医療機関を指定

□ 医療観察法の通院処遇者は、今後、移行通院群[入院処遇から通院処遇への移行]を中心として、増加が見込まれる。
  医療観察法の通院処遇においては、医療観察法に基づく医療のみならず、精神保健福祉法、障害者自立支援法、生活保護法等の援助も行われる。このため、法対象者の円滑な社会復帰に資する地域処遇を図る観点から、都道府県及び市町村等の関係機関においては、平素から緊密に連携し、地域連携体制を構築されるとともに、指定通院医療機関の確保をお願いする

 

医療観察法の仕組み

 

都道府県における指定入院医療機関の緊急整備のお願い

 

法に基づく指定入院医療機関について

1.指定基準上の取扱い

表:主な人員配置基準と施設基準

人員配置基準
病床数
30
15〜29
14以下
医師
8 : 1
(1/2以上は常勤)
8 : 1
(1/2以上は常勤)
8 : 1
(1/2以上は常勤)
常勤精神保健指定医
1名以上
1名以上
1名以上
常勤看護師
1:1.3 + 4
1:1.3 + 4
1:1.3
臨床心理技術者、作業療法士、精神保健福祉士
5 : 1+1
5 : 1+1
5 : 1+1(注)
施設基準等
全室個室で、床面積は10m2以上、2ヵ所以上の診察室あり、次に掲げる施設を有していることを標準とする(酸素吸入装置・吸引装置等を有する処置室、床面積10m2以上の保護室、集団精神療法室、作業療法室、入院対象者が使用できる談話室・食堂・面会室・浴室及び公衆電話)
「新病棟外部評価会議」、「新病棟運営会議」、「新病棟倫理会議」、「新病棟治療評価会議」及び「地域連携を確保するための会議」を設置し、定期的に開催すること
緊急時の対応のため、「事故・火災発生対応マニュアル」及び「無断退去等対応マニュアル」が整備されていること
無断退去を防止するため、玄関の二重構造等安全管理体制が整備されていること
当該入院医学管理の実施等については、「指定入院医療機関運営ガイドライン」を参考とすること

 

2.診療報酬上の取扱い


[基本単価]入院医学管理料(1人1日当たり)
   急性期(6,680点)、回復期(4,920点)、社会復帰期(5,820点)
[加算]
  15床~29床の指定入院医療機関については、当該病床数に応じた加算額が算定可能

指定入院医療機関の整備状況

■は稼働中の指定入院医療機関

1.国関係(14の精神科専門病院に設置することとし、13医療機関が稼働中)

2.都道府県関係(原則として、全ての都道府県において整備を目指す。)

 

指定入院医療機関の整備状況 (20.12. 1.現在)


 

指定通院医療機関の整備状況 (20.12. 1.現在)


 

各都道府県の地方裁判所における入院決定数・通院決定数の状況

(施行〜平成20年11月1日までの状況)

都道府県名 
入院決定 
通院決定
1
北海道 
32 15
2
青森県 
14 0
3
岩手県 
10 3
4
宮城県 
10 1
5
秋田県 
4 0
6
山形県 
7 3
7
福島県 
9 4
8
茨城県 
21 10
9
栃木県 
8 3
10
群馬県 
10 1
11
埼玉県 
55 7
12
千葉県 
37 8
13
東京都 
81 12
14
神奈川県 
40 15
15
新潟県 
16 6
16
富山県 
2 1
17
石川県 
8 2
18
福井県 
9 3
19
山梨県 
3 6
20
長野県 
11 3
21
岐阜県 
11 2
22
静岡県 
26 4
23
愛知県 
41 4
24
三重県 
8 5

 

都道府県名 
入院決定 
通院決定
25
滋賀県 
5 2
26
京都府 
10 3
27
大阪府 
39 27
28
兵庫県 
25 13
29
奈良県 
2 2
30
和歌山県 
9 3
31
鳥取県 
1 1
32
島根県 
3 1
33
岡山県 
4 3
34
広島県 
24 10
35
山口県 
7 0
36
徳島県 
3 1
37
香川県 
5 7
38
愛媛県 
5 6
39
高知県 
6 0
40
福岡県 
25 8
41
佐賀県 
3 1
42
長崎県 
10 1
43
熊本県 
11 6
44
大分県 
2 2
45
宮崎県 
8 2
46
鹿児島県 
12 3
47
沖縄県 
23 4

 

心神喪失者等医療観察法の医療提供体制の整備(148.7億円→219.9億円)


【現状と課題】
 重大な他害行為を行った精神障害者については、医療観察法において適切に処遇を行うことが規定されており、指定入院医療機関の整備を進めてきているところであるが、全国で720床(国関係420床、都道府県関係300床)の目標に対し、現状では437床(国関係382床、都道府県関係55床)に留まっている。
 このため、医療観察法に基づく入院決定者への適切な処遇に支障を来しているのが現状である。
【基本方針】
  緊急的課題である指定入院医療機関の加速度的整備に資する施策に重点的に取り組み、法の目的である対象者に対する継続的な医療の提供と社会復帰の円滑化を図る。

法に基づく手厚い専門的な医療の確保


・入院決定者等の処遇に必要な医療費など
     108.8億円  →  140.5億円
・法に基づく指定入院医療機関の緊急的整備など
     37.4億円  →  64.8億円
・指定入院医療機関の整備に伴う地域交流の促進 [新規]
   指定入院医療機関の整備を加速するため、地域との交流に資する整備事業を実施し、
   医療観察法対象者が安心して社会復帰できる医療体制の整備を推進する。
      12.0億円

 

PDF書類をダウンロード(476KB)


ページの先頭に戻る

トップページに戻る

トップページに戻る メールマガジン登録