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医療観察法関係省令、規則、告示等 4

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の
医療及び観察等に関する法律
第九十二条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める行動の制限

(平成十七年七月十四日厚生労働省告示第三百三十六号)

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第九十二条第二項の規定に基づき、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第九十二条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める行動の制限を次のように定め、同法の施行の日(平成十七年七月十五日)から適用する。

一 信書の発受の制限(刃物、薬物等の異物が同封されていると判断される受信信書について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第四十二条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定により指定入院医療機関に入院している者(以下「入院対象者」という。)によりこれを開封させ、異物を取り出した上入院対象者に当該受信信書を渡すことは、含まれない。)

二 裁判所及び地方厚生局の職員、法務局、地方法務局その他の人権擁護に関する行政機関の職員並びに入院対象者の代理人又は付添人である弁護士との電話の制限

三 裁判所及び地方厚生局の職員、法務局、地方法務局その他の人権擁護に関する行政機関の職員並びに入院対象者の代理人又は付添人である弁護士及び入院対象者又は保護者の依頼により入院対象者の代理人又は付添人となろうとする弁護士との面会の制限

 

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の
医療及び観察等に関する法律
第九十二条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める行動の制限

平成十七年七月十四日厚生労働省告示第三百三十七号)

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第九十二条第三項の規定に基づき、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第九十二条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める行動の制限を次のように定め、同法の施行の日(平成十七年七月十五日)から適用する。

一 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第四十二条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定により指定入院医療機関に入院している者(以下「入院対象者」という。)の隔離(内側から入院対象者本人の意思によっては出ることができない部屋の中へ一人だけ入室させることにより当該入院対象者を他の患者から遮断する行動の制限をいい、十二時間を超えるものに限る。)

二 身体的拘束(衣類又は綿入り帯等を使用して、一時的に当該入院対象者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう。)

 

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の
医療及び観察等に関する法律
第九十三条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める処遇の基準

(平成十七年七月十四日厚生労働省告示第三百三十八号)

 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第九十三条第一項の規定に基づき、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第九十三条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める処遇の基準を次のように定め、同法の施行の日(平成十七年七月十五日)から適用する。

第一 基本理念

 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第四十二条第一項第一号又は第六十一条第一項第一号の決定により指定入院医療機関に入院している者(以下「入院対象者」という。)の処遇は、入院対象者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に配慮しつつ、適切な精神医療の確保及び社会復帰の促進に資するものでなければならないものとする。また、処遇に当たって、入院対象者の自由の制限が必要とされる場合においても、その旨を入院対象者にできる限り説明して制限を行うよう努めるとともに、その制限は入院対象者の症状に応じて最も制限の少ない方法により行われなければならないものとする。

 

第二 通信・面会について

 一 基本的な考え方

  (一) 入院対象者の院外にある者との通信及び来院者との面会(以下「通信・面会」という。)は、入院対象者と家族、地域社会等との接触を保ち、医療上も重要な意義を有するとともに、入院対象者の人権の観点からも重要な意義を有するものであり、原則として自由に行われることが必要である。

  (二) 通信・面会は基本的に自由であることを、文書又は口頭により、入院対象者及び保護者に伝えることが必要である。

  (三) 電話及び面会に関しては入院対象者の医療又は保護に欠くことのできない限度での制限が行われる場合があるが、これは、病状の悪化を招き、あるいは治療効果を妨げる等、医療又は保護の上で合理的な理由がある場合であって、かつ、合理的な方法及び範囲における制限に限られるものであり、個々の入院対象者の医療又は保護の上での必要性を慎重に判断して決定すべきものである。

 二 信書に関する事項

  (一) 入院対象者の病状から判断して、家族等からの信書が入院対象者の治療効果を妨げることが考えられる場合には、あらかじめ家族等と十分連絡を保って信書を差し控えさせ、あるいは主治医あてに発信させ入院対象者の病状をみて当該主治医から入院対象者に連絡させる等の方法に努めるものとする。

  (二) 刃物、薬物等の異物が同封されていると判断される受信信書について、入院対象者によりこれを開封させ、異物を取り出した上、入院対象者に当該受信信書を渡した場合においては、当該措置を採った旨を診療録に記載するものとする。

 三 電話に関する事項

  (一) 制限を行った場合は、その理由を診療録に記載し、かつ、適切な時点において制限をした旨及びその理由を入院対象者及び保護者に知らせるものとする。

  (二) 電話機は、入院対象者が自由に利用できるような場所に設置される必要があるものとする。また、地方裁判所、地方厚生局担当部局及び法務局又は地方法務局の人権擁護主管部局等の電話番号を、見やすいところに掲げる等の措置を講ずるものとする。

 四 面会に関する事項

  (一) 制限を行った場合は、その理由を診療録に記載し、かつ、適切な時点において制限をした旨及びその理由を入院対象者及び保護者に知らせるものとする。

  (二) 入院後は入院対象者の病状に応じできる限り早期に入院対象者に面会の機会を与えるべきであり、入院直後一定期間一律に面会を禁止する措置は採らないものとする。

  (三) 面会する場合、入院対象者が立会いなく面会できるようにするものとする。ただし、入院対象者若しくは面会者の希望のある場合又は医療若しくは保護のため特に必要がある場合には病院の職員が立ち会うことができるものとする。

 

第三 入院対象者の隔離について

 一 基本的な考え方

  (一) 入院対象者の隔離は、入院対象者の症状からみて、入院対象者本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、隔離以外の方法ではその危険を回避することが著しく困難であると判断される場合に、その危険を最小限に減らし、入院対象者本人の医療又は保護を図ることを目的として行われるものとする。

  (二) 隔離は、入院対象者の症状からみて、その医療又は保護を図る上でやむを得ずなされるものであって、制裁や懲罰あるいは見せしめのために行われるようなことは厳にあってはならないものとする。

  (三) 十二時間を超えない隔離については精神保健指定医の判断を要するものではないが、この場合にあってもその要否の判断は医師によって行われなければならないものとする。

  (四) なお、入院対象者本人の意思により閉鎖的環境の部屋に入室させることもあり得るが、この場合には隔離には当たらないものとする。この場合においては、入院対象者本人の意思による入室である旨の書面を得なければならないものとする。

 二 隔離の対象となる入院対象者に関する事項

 隔離の対象となる入院対象者は、主として次のような場合に該当すると認められる入院対象者であり、隔離以外によい代替方法がない場合において行われるものとする。

 ア 他の患者との人間関係を著しく損なうおそれがある等、その言動が入院対象者の病状の経過や予後に著しく悪く影響する場合

 イ 自殺企図又は自傷行為が切迫している場合

 ウ 他の患者に対する暴力行為や著しい迷惑行為、器物破損行為が認められ、他の方法ではこれを防ぎきれない場合

 エ 急性精神運動興奮等のため、不穏、多動、爆発性などが目立ち、他の方法では医療又は保護を図ることが著しく困難な場合

 オ 身体的合併症を有する入院対象者について、検査及び処置等のため、隔離が必要な場合

 三 遵守事項

  (一) 他の患者の隔離を行っている閉鎖的環境の部屋に入院対象者を入室させることはあってはならないものとする。また、既に入院対象者が入室している部屋に隔離のため他の患者を入室させることはあってはならないものとする。

  (二) 隔離を行うに当たっては、当該入院対象者に対して隔離を行う理由を知らせるよう努めるとともに、隔離を行った旨及びその理由並びに隔離を開始した日時及び解除した日時を診療録に記載するものとする。

  (三) 隔離を行っている間においては、定期的な会話等による注意深い臨床的観察と適切な医療及び保護が確保されなければならないものとする。

  (四) 隔離を行っている間においては、洗面、入浴、掃除等入院対象者及び部屋の衛生の確保に配慮するものとする。

  (五) 隔離が漫然と行われることがないように、医師は原則として少なくとも毎日一回診察を行うものとする。

 

第四 身体的拘束について


 一 基本的な考え方

  (一) 身体的拘束は、制限の程度が強く、また、二次的な身体的障害を生ぜしめる可能性もあるため、代替方法が見出されるまでの間のやむを得ない処置として行われる行動の制限であり、できる限り早期に他の方法に切り替えるよう努めなければならないものとする。

  (二) 身体的拘束は、入院対象者本人の生命を保護すること及び重大な身体損傷を防ぐことに重点を置いた行動の制限であり、制裁や懲罰あるいは見せしめのために行われるようなことは厳にあってはならないものとする。

  (三) 身体的拘束を行う場合は、身体的拘束を行う目的のために特別に配慮して作られた衣類又は綿入り帯等を使用するものとし、手錠等の刑具類や他の目的に使用される紐、縄その他の物は使用してはならないものとする。

 二 身体的拘束の対象となる入院対象者に関する事項

 身体的拘束の対象となる入院対象者は、主として次のような場合に該当すると認められる入院対象者であり、身体的拘束以外によい代替方法がない場合において行われるものとする。

 ア 自殺企図又は自傷行為が著しく切迫している場合

 イ 多動又は不穏が顕著である場合

 ウ ア又はイのほか精神障害のために、そのまま放置すれば入院対象者本人の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合

 三 遵守事項

  (一) 身体的拘束に当たっては、当該入院対象者に対して身体的拘束を行う理由を知らせるよう努めるとともに、身体的拘束を行った旨及びその理由並びに身体的拘束を開始した日時及び解除した日時を診療録に記載するものとする。

  (二) 身体的拘束を行っている間においては、原則として常時の臨床的観察を行い、適切な医療及び保護を確保しなければならないものとする。

  (三) 身体的拘束が漫然と行われることがないように、医師は頻回に診察を行うものとする。

 

 

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